地震予知の方法│地震予知・予測~「予知するアンテナ」

予知するアンテナ

地震予知の方法

地震予知の基本は前兆現象をつかむことです。

早川教授は、長年の研究で大きな地震が迫ってくると、地圏(地下)、大気圏(地上)、電離圏(宇宙)に異常をきたすことを世界で初めて発見しました。つまり、地震は地下の活動による直接的な現象だけでなく、宇宙空間までその影響が及んでいることを突き止めたのです。その後、地震の起こる約1週間前に顕著に前兆現象をつかむ技術を開発(特許第4867016号)して短期地震予知の実用化にも成功しました。


予知するアンテナでは、これまで早川教授が世界中で研究に用いてきた電波を使った電磁気学的手法を日本に集結させ、世界初の複合的な地震予知観測を開始します。これにより地震予知の精度向上と巨大地震の予知実現を目指します。

観測方法について

早川教授の地震予知は電波を受信して行います。その方法は大きく分けて2つあります。1つは地震の前に発生する電波を直接受信する方法(受動観測)、もう一つは身の回りの電波を使って地震の前兆現象を捉える方法(能動観測)です。

電波はさまざまな種類(周波数)によって、その特性が大きく違ってきます。前者には、ULF やELFといった震源(地下)から地表まで到達することのできる極めて低い周波数の電波を受信することで地圏や大気圏を観測します。後者には、ラジオや電波時計などに使われるVLF/LFやVHFといった電離層で反射する周波数の電波を受信して電離層下部(D層、E層)から上部(F層)を観測します。

これらの観測をつなぎ合わせると、地震の前兆現象を地圏~大気圏~電離圏でつかむことができる複合観測が構築されます。

以下に、それぞれの観測方法について簡単に説明します。

地圏の観測(ULF帯電波)

地震の前の岩盤破壊に伴って発生するULF帯の電波を直接受信します。微弱な電波を受信するため人工ノイズ、自然ノイズ、宇宙からのノイズとの判別が難しいのですが、1996年に提案した磁界の水平成分と垂直成分を用いた信号解析で地震の前兆現象かどうかを判別することができるようになります。

この観測では、受信するアンテナ近傍(約50km~100km)で大きい地震(マグニチュード6クラス以上)が発生したときに電波異常が観測されており、それらは地震発生の約2週間と数日前に異常を示す傾向があります。また、電波の到来方向を求めることができるので、地震の震源地をこれまでより精度よく予知できる可能性があります。ただ、観測点が電車も通らないような人工ノイズの少ない山奥に設置する必要があり、メンテナンスには大変苦労します。

大気圏の観測(ELF帯電波)

地震の前には、ELF帯のパルス状の電波が放射されていることがわかってきており、東日本大震災でも地震の前兆現象としてELF電波が観測されたことを私たちは論文誌に発表しています。

この観測では、ULF帯電波と同様に、地震の電波がどの方向から来たかが分かるため(方探)、この観測アンテナを複数設置することで、それらの方向が交わるところが地震の震源地だと突き止めることができます(交差法)。他の観測手法との異常を重ね合わせれば、地震の発生場所と規模がこれまでより精度よく予知することができるとして観測しています。

地表の観測(VHF帯電波)

FMラジオ放送などのVHF帯電波を東西南北方向から受信します。これまでのVHF帯は見通し外電波を受信する研究を主に進めてきましたが(地震の前にいつも聞こえないFMラジオが聞こえる)、ここでは、見通し内電波を連続受信することで、大気の地表面の乱れを観測します。

この観測では、約1週間前の前兆現象と1日前の直前現象の検出できる傾向にあります。見通し内電波と地震との研究は、電波を用いた研究の中でも最近始めた研究テーマであるので、これから発展する可能性があるとして取り組んでいます。

電離層(下部:D層/E層)の観測(VLF/LF帯電波)

地震の前兆現象をつかむ方法として最も確立しており、予知するアンテナでも最も力を入れている観測手法です。VLF帯電波は電離層下部(高さ約80km~100km)で反射される特性があり、地震の前には電離層擾乱(乱れ)が発生して電波が反射する高度が下がるので、電波が進む距離がいつもより短くなり早く到達するようになることを1996年に私たちが突き止めています。電離層は太陽活動、雷、地磁気嵐などで擾乱することがありますが、擾乱の継続時間などをもとに信号解析で分別できる解析手法を開発しており、地震の前兆現象だけを検出できるようになっています。また、これまでと違って電波の位相情報を解析に加えることで情報量を倍増させ、人工知能(AI)や臨界解析など新しい解析手法にも取り組んで精度の向上に取り組んでいます。

この観測では、送受信のアンテナ間でマグニチュード5クラスで浅い地震の発生したときに、電波の異常が約1週間前に観測されており、それらは地震の約1週間前に異常を示す傾向にあります。


なお、ULF帯電波の観測で、磁界の水平成分だけに着目すると、地震の前に宇宙からのノイズが減少することを2006年に私たちは発見しています。これは地震の前兆現象の電離層擾乱によるものだとすると説明することができるので、VLF帯電波の観測と合わせることで、精度よく地震の前兆をつかむことができるようになるとして観測しています。

電離層(上部:F層)の観測(HF帯電波)

NICT(情報通信研究機構)から垂直打ち上げと斜め入射に送信されたHF帯の電波を受信します。HF帯電波は電離層上部(高さ約200km前後)で反射される特性があり、垂直打ち上げの観測において地震の前には電離層上部まで擾乱(乱れ)することを台湾グループの研究により統計的に明らかになっており、その観測手法をもとに地震の前兆現象をつかみます。

垂直打ち上げの観測では、数日前の前兆現象が検出できる傾向にあります。一方、斜め入射の観測は、地震予知分野では初めての試みであり、新たな知見を得て精度の向上とともに地震予知学の発展を期待しております。

複合観測とは。また、利点について

複合観測(いろいろな電波を用いること)は総合的に地震の危険性を判断できるようになり、以下のような効果が期待できます。

【地震予知の3要素(※1)の精度向上】

地震の前兆現象となる電波の異常は、約2週間前からULF帯、約1週間前にVLF/LF帯、数日前にVHF帯の電波に異常のピークが見られます。これは、地下~地上~宇宙空間へと順に異常がでており、複合観測では、これらの時系列変化をつかむことで、地震の発生予測(”いつ”)の精度の向上ができます。また、それに伴ってどの観測手法でどの程度の異常がでているかを把握することで地震の場所と規模予測(”どこで”、”どのくらいの規模”)の精度の向上ができます。

(※1)地震の3要素:”いつ、どこで、どのくらいの規模”の地震かを予知すること

【空振り(※2)、見逃し(※3)の確率が下がる】

例えば、一つの方法だけで地震予知をすると、異常が出たときに地震の前兆なのか、それとも、太陽フレアや雷などその他の自然現象(自然ノイズ)や人工ノイズの影響か判別が難しくなる場合があり、空振りや見逃しといった予知の失敗に繋がる可能性があります。

複合観測を行うと、ある異常を様々な視点で確認できるため、その異常が地震の前兆現象かどうかの判別が可能になり、空振りや見逃しの可能性を低くすることができます。特に、見逃しについては、地震発生によって不意打ちを食らうことになるので、この複合観測で見逃しの可能性を低くできることは大きな利点になります。

(※2)空振り:予知をしたのに、地震が来なかった。

(※3)見逃し:予知をしていないのに、地震がきた。

どのような機材で計測しているか

屋内では

屋外にアンテナを設置して、受信したデータをPCに蓄積します。

PCに蓄積されたデータは、早川教授が開発した解析プログラムによって異常度合が判定されます。

他の観測手法も同様に、電波の異常度合を分析します。

解析では太陽活動や人工ノイズの影響を除き、地震の前兆現象だけを取り出すようにします。

そうすることで、異常が検出されたときに地震の前兆現象だと判定できるようになります。